背骨のカーブと側弯症について
〜ピラティスでできること・できないこと〜
背骨の自然なカーブとは?

私たちの背骨(脊柱)は、まっすぐな棒ではなく「ゆるやかなカーブ」を持っています。
横から見たときに、首(頸椎)は前に、胸(胸椎)は後ろに、腰(腰椎)は前にカーブしていて、これを生理的弯曲と呼びます。
このカーブがあることで、
- 頭や体の重さを分散できる
- 衝撃を吸収できる
- 動作の安定性を高められる
といったメリットがあります。
つまり、カーブは異常ではなく本来あるべき自然な構造なのです。
側弯症とは?
一方で、背骨を正面(後面)から見たときに「左右にカーブがある状態」を側弯症(そくわんしょう)と呼びます。
背骨がS字やC字のように曲がってしまい、同時にねじれを伴うことも多いのが特徴です。

側弯症の種類
特発性側弯症(Idiopathic scoliosis)
- 最も多い(全体の約8割)
- 原因ははっきりしないことが多い
- 思春期に多く、女子に多発
- 学校健診で発見されるケースが多い
先天性側弯症(Congenital scoliosis)
- 胎児期に椎骨の形成に異常が生じて発症
- 骨の形自体に問題があるため、進行する可能性が高い
神経筋性側弯症(Neuromuscular scoliosis)
- 脳性麻痺・筋ジストロフィー・二分脊椎など、神経や筋肉の病気に伴って発生
- 体幹の支持が弱いため、進行しやすい
症候性側弯症(Syndromic scoliosis)
- マルファン症候群やプラダーウィリー症候群など、全身性疾患に伴って発生
変性側弯症(Degenerative scoliosis)
- 中高年に多い
- 加齢や椎間板の変性、骨粗鬆症による椎体変形などで発症
機能側弯症(Functional scoliosis)
- 姿勢の癖や筋肉のアンバランスによって一時的に背骨が曲がっている状態
- 原因(脚長差、姿勢の癖など)を整えることで改善が期待できます
側弯症の原因とリスク
多くの場合、側弯症の明確な原因は不明ですが、思春期の成長期に進行しやすいことが知られています。
また、女性に多くみられる傾向も報告されています。
進行した側弯症では、
- 肩や腰の高さの左右差
- 肋骨の突出(リブハンプ)
- 呼吸が浅くなる
などの身体的特徴が出ることがあります。
側弯症と運動の関係
「側弯症なら運動してはいけないのでは?」と思う方もいるかもしれません。
しかし、運動はむしろ推奨されることが多いです。
なぜ運動が必要?
- 筋肉のアンバランスを整える
- 姿勢保持筋を強化し、進行を抑える
- 柔軟性と呼吸機能を高める
注意点
ただし、ピラティスやトレーニングが側弯症そのものを“治す”わけではないことを理解する必要があります。
構築性側弯症の場合は、医師や専門の運動療法士による管理が前提です。
ピラティスでできること
BumpUp Pilatesでは、側弯症や背骨のアンバランスを持つ方に対しても、以下のようなサポートを行います。
- 動的アライメントチェック:動きの中で姿勢のクセや代償動作を観察
- 呼吸法の改善:胸郭の動きを引き出し、呼吸筋を活性化
- 体幹の安定性トレーニング:腹横筋・多裂筋など姿勢保持に必要な筋を鍛える
- 左右差の調整:ストレッチやマシンを使い、過度に緊張している筋肉を緩め、不足している部分を強化
ピラティスは万全ではないが、側弯の進行抑制や、痛み・不調の軽減、姿勢の改善が期待できます。
アプローチの特徴
当スタジオでは「型にはめる」のではなく、一人ひとりの体の状態に合わせたセッションを行っています。
- 成長期の方 → 無理のない範囲で呼吸や体幹安定を中心に
- 成人女性 → デスクワークや子育てによる偏りの修正
- アスリート → パフォーマンスを下げないように筋力・柔軟性の両立
医療機関での管理が必要なケースもありますが、ピラティスはその補完的アプローチとして最適です。
まとめ
🔴背骨は本来「自然なカーブ」を持つ構造
🔴側弯症は「正面後面から見て左右に曲がる」状態を指す
🔴構築性の場合は医療管理が必須、機能性の場合は改善の余地あり
🔴ピラティスは治療ではないが、進行抑制・不調軽減に大きな効果がある